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トネリコ/とねりこ
Japanese Ash
【トネリコとは】
・本州中部以北に見られる落葉樹。かつて関東や中部地方の稲作地ではハンノキなどと同様に本種を水田の稲架けに用いた。庭木として使われることは稀だが、4月~5月にかけて咲く円錐状の白い小花に観賞価値があるとして植栽されることもある。
・現在、庭木として大人気のシマトネリコは本種の近縁だが、本種が落葉樹であること、シマトネリコが基本的には常緑樹であることが決定的に異なる。また、本種は日本のトネリコだが、シマトネリコは台湾、沖縄、フィリピンなどの亜熱帯を原産とする。このため本種をサトトネリコと呼んで区別する。トネリコの葉はシマトネリコの葉よりも大きいため容易に見分けられる。
・トネリコの名は、この木の皮を煮て得たニカワを、墨と共に練って写経に使ったことに由来する(共に練る濃)。また、枝についたイボタロウ(あるいはカイガラムシ)の分泌物をワックス代わりに戸の溝に塗って滑りをよくしたため「戸に塗る粉」でトネリコになったという説もある。また、トネリコの樹皮は「秦皮(しんぴ)」といい、昔から眼の病気や痛風に効果があるとされる。
・トネリコの材は緻密かつ柔軟であるため、アオダモなどとともに野球用バットや農具を作るのに使われる。
・類種のセイヨウトネリコ(イギリス原産)やアメリカトネリコ(アメリカ原産)はアッシュと呼ばれ、楽器や英国製の高級ステッキに使われる。
【育て方のポイント】
・土質を選ばず丈夫に育つが、基本的には大木となることや枝振りが大雑把であるため、庭木として使うことは少ない。
・あまり剪定を好まず、剪定によって樹形を乱しやすい。
・湿気を好み、過度の乾燥や夏の暑さにはやや弱い。
・チョウセンアカシジミやテントウミノハムシによって葉を食害されやすい。
【トネリコに似ている木】
・オオトネリコ(ヤマトアオダモ)
奥尻島、本州、四国及び九州の山地に分布する品種で樹高が15~25mに達する。
・ツクシトネリコ
本州及び九州に見られる木で、オオトネリコ(ヤマトアオダモ)の変種とされる。裏面の葉脈上に細かな毛が生じるため別名をウラゲオオトネリコなどともいう。
・アメリカトネリコ
一般にホワイトアッシュあるいは単にアッシュと呼ばれる木であり、建材、合板、楽器そしてバットに使われる。アメリカ東部及び南部を原産とし、18世紀初頭にはイギリスへ渡来した。幹は蜂の巣のようで美しいが、中身はそれほどでもない。
・チョウセントネリコ
朝鮮半島を原産とするトネリコで、日本のトネリコよりも大きな葉を持つ。別名はオオトネリコ
トネリコの基本データ
【分類】モクセイ科 トネリコ属
落葉広葉 高木
【漢字】─(とねりこ)
【別名】サトトネリコ/タモノキ
カントウトネリコ/タモ
【学名】Fraxinus japonica Blume
【英名】Japanese Ash
【成長】やや早い
【移植】普通
【高さ】10m~15m
【用途】公園/材木
【値段】2000円~