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ムラサキ/むらさき/紫
Murasaki
【ムラサキとは】
・北海道から九州まで日本各地の乾いた草地や丘陵に自生するムラサキ科の多年草。かつては東京の武蔵野台地にも群生するほどありふれたが、染料としての乱獲が進み、現在では絶滅が危惧される。日本以外では中国や朝鮮半島に分布。
・葉は長さ5~10センチ、幅2センチほどで茎から互い違いに生じ、葉柄や縁のギザギザはない。茎は株立ち状に直立し、40~60センチほどになる。葉や茎には粗い毛がある。
・ムラサキの開花は夏(6~8月)で、葉の付け根付近にある「苞葉」と呼ばれるものの間に、直径5ミリほどの小さな花が咲く。目立たない花だが花冠は五つに分かれて平らに開き、下部は筒状になる。花の後にできる果実は灰白色をした直径3ミリほどの卵形で、熟すと4つに分かれる。
・紫根(しこん)と呼ばれるムラサキの根は、年月を重ねると太くなり、干して乾燥させると紫色になる。この根で染色することを「紫根染め」というが、紫は地位の高い者のみが着用を許された高貴な色で、平安朝期には諸国から盛んに献納された。日本で初めてムラサキが栽培されたのは近江国(京都)の蒲生野であり、紫野と呼ばれた。
・江戸末期に活躍した医者、華岡青洲が処方したとされる「紫雲膏」は、ムラサキの根などを原料とする外用薬で、火傷や痔疾に使われる。現代でも江戸末期とさほど成分の変わらない紫雲膏が市販されている。
【開花時期】
・6月~7月
【花の色】
・白
【背丈】
・40~60cm