庭木図鑑 植木ペディア > ヤマボウシ
ヤマボウシ/やまぼうし/山法師
Japanese flowering dogwood
【ヤマボウシとは】
・東北南部から九州の野山に見られるミズキ科の落葉小高木。6月頃に咲く清楚な花や、秋にできる果実を観賞するため、公園、街路、一般家庭の庭に数多く植栽される。ハナミズキ(別名アメリカヤマボウシ)は、この近縁種にあたる。
・新緑、花、実、紅葉とシーズンごとの楽しみがあるためシンボルツリーとして人気が高い。一本立ちのものでも風景になるが、特に株立ちのヤマボウシは観賞価値がある。
・花びらのように見えるのは「総苞」と呼ばれる部分であり、本当の花は総苞の中心にある粒状のもの。総苞は昆虫などを花の方へ誘引する役割を持つ。総苞の色は品種によって白、黄色、ピンク、赤とある。花を法師の頭に、4枚の総苞を頭巾に見立ててヤマボウシと名付けられた。韓国や中国にも自生し、中国語では「四照花」と表記する。
・実は果肉が柔らかくて甘みがあり、生食や果実酒に使うことができる。自生地では野生の猿が好んで食べる。
・葉は楕円あるいは卵形で、ミズキと同じように枝から対になって生じ、規則的に並ぶ。秋には画像のように紅葉するが、都市部では山間のような綺麗な紅葉は見られない。
・樹高は最大で15mほど。大木では樹皮がマダラに剥離し、ナツツバキ、リョウブ、カゴノキなどと似た雰囲気となる。重硬な材は器具や薪炭に使われるが、材木としての流通は少ない。
【育て方のポイント】
・あまり背が高くならないため庭木として人気が出たが、ハナミズキ同様に花が上向きに咲くため、成長とともに観賞しにくくなる。このため剪定が必要だが、自然樹形を楽しむ木であるため、剪定にはセンスが必要となる。
・自生地は山地の谷沿いが多く、砂壌土を好むが、適応力があり土質選ばずに育つ。
・花や紅葉を楽しむには日当たりの良い場所に植える。ただし、西日を嫌うため、西日の当たる場所では根元に下草を植えるなどの乾燥対策が必要。
【ヤマボウシの品種】
・ウルフアイ、ゴールドスターなど葉色を楽しむ品種、ミルキーウェイのように、より丈夫な品種、さらには冬でも葉の落ちない常緑のヤマボウシなどがある。常緑性のヤマボウシは近年人気が高まっている品種で、ホンコンエンシス(ガビサンヤマボウシや月光など)とヒマラヤヤマボウシの二系統に大別できる。いずれも常緑だが、気温が低い時季は紅葉したようになる。
【ヤマボウシとハナミズキの見分け方】
・ハナミズキとヤマボウシの違いは以下のとおり
①樹皮
ハナミズキはゴツゴツしてひび割れている。ヤマボウシはツルツルしている。
②花の時期
ハナミズキは花が咲いてから新芽が出る。ヤマボウシは葉が揃ってから花が咲く。このためハナミズキは華やかな印象だが、ヤマボウシは奥ゆかしい印象になる。花期はハナミズキの方が数週間早い。
③花の形
ハナミズキの花(包)は先端が凹んでいるか丸い。ヤマボウシは尖っている。
ヤマボウシの基本データ
【分類】ミズキ科 ミズキ属
落葉広葉 小高木
【学名】Cornus kousa
【別名】コウサ/ヤマグワ
【成長】やや早い
【移植】やや難しい
【高さ】5m~15m
【用途】シンボルツリー/街路樹/公園樹
【値段】3000円~