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ヤマナシ/やまなし/山梨

Sand pear

山梨の木,味,やまなし
梨の原種だが、ジャリジャリしてマズい
山梨の木,やまなし,植物
ヤマナシの冬芽は行儀よく並ぶ
やまなし,植物
芽出しの様子
日本やまなし,ヤマナシ
若葉の様子
Sand pear
葉の縁には細かな鋸歯がある
ヤマナシ,やまなし,枝
若い枝は紫っぽく、楕円形の「皮目」が目立つ
ナシの木の棘,山梨の木
枝にはこんなトゲがあることも
ナシ,由来
果実は黄褐色に熟し、表面には皮目が多い
Sand pear
ヤマナシの果実
Sand pear,Japan
強風で落下しやすい
山梨,紅葉,やまなし
黄葉の様子
山梨の木,特徴
落葉期の様子
ヤマナシ,やまなし,幹
樹皮は染料に使われる

【ヤマナシとは】

・本州、四国及び九州を原産地とするバラ科の落葉広葉樹。民家の近くに多く、山間に群生が見られないことから、古い時代に中国から渡ったものが野生化したとする説もある。日本のほか中国の中南部や韓国にも見られる。

 

・日本書紀にも登場するほど日本人との関係は深く、我々が口にする「二十世紀」、「香水」、「長十郎」といった和ナシの原種かつ台木となる。なお、円錐状の実がなる洋ナシは小アジア及び南東ヨーロッパを原産とするナシが原種となっており、系統が異なる。

 

・ヤマナシの葉は卵型あるいは楕円状の卵型で先端が尖る。長さは6~18センチほどで、縁に鋭いギザギザがあり若葉では特に目立つ。枝先に密生するように見えるが、枝らか互い違いに生じる互生。枝は画像のような感じだが、小枝は棘状になることがある。

 

・4~5月になると葉の展開と共に白い花が開花する。花は直径5センチほどで花弁は5枚、花柱(雌しべ)5本の周りを20本ほどある雄しべが取り囲む。短い枝の先に5~10輪が集まって咲く姿は美しい。

 

・9~10月頃に熟す果実は直径3~9センチほど。一般的なナシは直径10センチ以上あるため、ナシのイメージからすれば相当に小さく、パッと見はキウイのように見える。果肉は堅くて酸味や渋味が強く、食用にならない。

 

・幹の直径は最大で60センチほど。染料に使われる樹皮は黒っぽい色合いで、古木になると縦や鱗状に裂け目が入る。ヤマナシの材は緻密で耐久性が高いため、書道で使う墨の木型に重用する。

 

・ヤマナシと聞けば山梨県を連想するが、山梨県の県木はヤマナシではなくカエデ(モミジ)。また、ナシの語源については、果肉の白さを表す「中白(なかしろ)」あるいは、芯の酸っぱさを表す「中酸なかす)」が転訛したとする説などがある。

 

・地方によってはアズキナシをヤマナシという。

 

【ヤマナシの育て方のポイント】

・典型的な「陽樹」であり、植栽は日向に限る。日当たりや通風が悪い場所では、病害虫が発生しやすい。

 

・土質は選ばないが、粘土質の土壌に植えると生育が良い。

 

・大気汚染や煙害に弱く、都市部にはあまり向かない。

 

・樹形は整いにくく、木の姿を観賞するような木ではない。

 

【ヤマナシの品種】

・イワテヤマナシ

 岩手県の限られた地域に分布する品種で、宮沢賢治の童話「ヤマナシ」に登場するのは本種とされている。その他、本種の近縁にはアオナシ、ミチノクナシ、マメナシなどが、果樹としての品種にはナシがある。

岩手山梨,木,みやざわけんじ
イワテヤマナシの葉と樹皮の様子

ヤマナシの基本データ 

 

【分類】バラ科/ナシ属

     落葉広葉/高木

【漢字】山梨(やまなし)

【別名】ニホンヤマナシ

【学名】Pyrus pyrifolia

    (Burm.I.)Nakai  

【英名】Sand pear

【成長】早い

【移植】難しい 

【高さ】10~20m

【用途】花木/公園

【値段】3000円~

 

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