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ユズリハ/ゆずりは/杠葉

Yuzuriha(False Daphne)

譲り葉 植木 画像
「世代交代」という花言葉があるものの、花は目立たない。
赤軸,ゆずりは,ユズリハ
新葉の軸が赤い種類と赤くない種類(アオジクユズリハ)がある
楪の木,ゆずりは
春先は新芽(黄緑)と蕾(赤)のコントラストが美しい
正月飾りに使う木
新葉の成長を見届けてから古葉が落ちるのが名の由来
ユズリハ,葉っぱ,画像
葉の裏面の様子 葉は枝から互い違いに生じる
ゆずりは,樹木
葉が入れ替わる時季の様子
杠葉の花,ゆずりは
ユズリハの雄花は雄しべのみ
ゆずりは,開花
雌花の花柱は先端が二つに裂け、灰色の子房と小さな萼がある
ユズリハの木,開花
受粉後の雌花
ゆずりはの木
雌花は終わると子房だけが残り・・・ 
False Daphne,fruits
秋にかけて徐々に膨らむ
ユズリハの実,食べる,食用,毒
11~12月に熟すとブルーベリーのようになるが、毒があって食べられない
False Daphne
紅葉しないが、暖地性であり冬季には葉の一部が黄変する
ゆずりは,写真
樹高は最大で12mほど
ユズルハ 樹木 写真
ユズリハの樹皮

【ユズリハとは】

・福島県以西の本州、四国、九州及び沖縄に分布するユズリハ科の常緑樹。日本原産の木で内陸部に自生するが、樹形が整いやすいため庭園や公園にも植栽される。漢字表記は「譲葉」のほか「杠葉」「楪」など。

 

・一般的には葉を正月飾り(注連飾り、蓬莱飾り、鏡餅の敷物など)に使うことで知られる。新葉が揃うまで古葉が落ちず、新旧の葉が着実に入れ替わる様子に円満な世代交代や子孫繁栄を託したもので、縁起の良い木として記念樹に使うことも多い。

 

・ユズリハという名は、上記の世代交代にちなむというのが通説だが、太めの葉脈を弓弦(ゆづる=弓に張る糸)に見立てたという説もある。古名は「ゆづるは」で、万葉集にもその名で登場する。

 

・葉は幅5センチ、長さ10~20センチほどの楕円形で縁にギザギザはなく、先端が急速に尖る。質は肉厚で表面には光沢があるが、裏面は粉を吹いたように青白く、16~19対の葉脈が見える。葉が大きいため遠目からは木全体がエメラルドグリーンに見え、比較的容易に他の木と区別できる。

 

・葉の寿命は2~3年で、6~7月にかけて一斉に新旧の葉が交代する。この性質に関してはクスノキも同じだが、古い葉が黄色くなり、入れ替えが分かりやすいため、世代交代の象徴とされる。また、ユズリハは4~6センチになる赤い葉柄も特徴だが、葉柄が緑色の品種もあり、これをアオジクあるいはアオユズリハと呼んでいる。 

 

・ユズリハの開花は5~6月。新葉の展開と同時に、前年に伸びた葉の付け根から長さ4~12センチの花柄を出し、黄緑色の小さな花を咲かせる。雌雄異株で花には雄花と雌花があるが、花弁はなく、通りすがりにはほとんど目立たず、一般的には観賞価値に乏しいとされる。雄花は8~10本の雄しべのみで雌しべや萼もなく、雌花には先端が二裂する褐色の雌しべ(柱頭)と退化した数個の雄しべと小さな萼がある。

 

・10~12月になると直径1センチほどあるブドウのような果実がみのり、中には灰色の種子が一粒入っている。見た目は美味しそうでヒヨドリやオナガなどの野鳥も集まるが、有毒物質(ダフニマクリン)が含まれており、食せば呼吸困難などを引き起こす。かつては縁起を担いでユズリハの葉を酒席の皿代わりに用いる風習もあり、注意を要する。

 

・民間療法では葉や樹皮を薬用し、地方によっては若芽を正月菜とする風習もあるが、葉や樹皮にも有毒物質(ダフニマクリン、ユズリン)を含んでおり、素人が手を出すのは危険である。かつてはこれらを煎じて除虫薬として使うこともあったが、家畜が食べると起立不能、食欲不振、心臓麻痺等を引き起こすこともある。

 

・幹は直立し、太い枝を四方に広げる。樹皮は灰褐色で表面にはポツポツと模様が入る。材は灰色っぽいクリーム色。現代では材木としてほとんど流通しないが、重厚で耐久性がある。縄文時代には石斧の柄として使われたことが、鳥浜貝塚遺跡によって証明されている。

 

【ユズリハの育て方のポイント】

・庭木として観賞するためには10年以上かかるほど成長が緩やかで、幼樹のうちは比較的手をかけずに育てられる。しかし、基本的には大きく育ててこそ観賞価値のある樹形になるため、植栽にはある程度のスペースが必要となる。

 

・葉が大きく、常緑であるため、門際や屋敷周辺の目隠しとして使用できる。剪定には強く、枝ぶりが単純なため整えやすい。花は前年に伸びた枝先に咲くため、枝先を詰めて剪定すると花が実ができにくい。

 

・日向でよく育つが、日陰にも強いため、建物の北側などに利用できる。ただし、自生地は暖地の広葉樹林内で耐寒性が低いため、植栽の適地は東北地方南部以西となる。寒冷地ではエゾユズリハが向く。

 

【ユズリハの品種】  

エゾユズリハヒメユズリハ、アオジクユズリハ、フイリユズリハ(黄緑中斑など)の品種がある。

 

【ヒメユズリハとユズリハの違い】

・ユズリハは枝の出方が大ぶりで、どこか荒っぽい印象を受けるが、ヒメユズリハは葉が小ぶりで、小枝を密生し、樹形も整いやすいため、一般家庭の植え込みには使い勝手が良い。ユズリハに比べるとより寒さに弱いため、暖地や潮風を受ける地域の植栽に向く。

 

・ユズリハに比べて葉が小さいことからヒメユズリハというが、幹はユズリハよりも太くなる。

 

・ユズリハの葉は垂れ下がるが、ヒメユズリハの葉は垂れ下がらない。

yuzuriha tree
葉柄が赤くならないアオジクユズリハ
楪の木の種類
斑入りユズリハは明るい雰囲気になる
ユズリハ,ゆずりは,種類
「黄緑中斑」というユズリハの品種
姫ゆずりは,樹木
実が熟した頃のヒメユズリハ
ひめゆずりは,品種
葉に模様が入るヒメユズリハの「白覆輪」

【ユズリハとエゾユズリハの違い】

・ユズリハの仲間にはさらにエゾユズリハというものがある。北海道に多いとして命名されたが、本州の日本海側にも見られる。積雪に対応するため枝は横に広がり、しなやかで折れにくく、葉はユズリハよりもやや小ぶりで薄い。

蝦夷ゆずりは,画像
エゾユズリハは横に広がる

ユズリハの基本データ

 

【分類】ユズリハ科/ユズリハ属

    常緑広葉/高木

【漢字】杠葉/譲葉(ゆずりは) 

【別名】ユズルハ/本ユズリハ

    ショウガツノキ/ツルシバ

    オヤコグサ(親木草)

【学名】Daphniphyllum macropodum

       ssp.macropodum

【英名】Yuzuriha(False Daphne)

【成長】やや遅い

【移植】やや難しい

【高さ】5~12m

【用途】シンボルツリー/街路樹

    公園/庭木/正月飾り

【値段】800円~