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ノアザミ/のあざみ/野薊
Japanese meadow cabbage
【ノアザミとは】
・本州、四国及び九州に分布するキク科の多年草。日当たりがよく湿気の多い場所を好み、野原、丘陵、山林などに自生する。アザミには変種が多く、100近くの種類があるというが、単にアザミという場合は本種を示すことが多い。
・葉は羽根状に裂け、その縁はギザギザになり、先端にはトゲがある。若葉のトゲは柔らかいため食用できるが、夏以降の成葉は手で触れると多少チクチクする。触れると痛い目に遭う(=欺かれる)のでアザミと名付けられたという仮説があるが、正式なアザミの語源は分かっていない。
・葉は茎から互い違いに生じるが、その根元は茎を抱くようになっている。茎は最大1mほどまでまっすぐに伸びるが、上部で枝分かれが多い。
・早ければ旧暦の初夏にあたる5月に咲き、ハルアザミとの別名がある。花は小さな管状で、茎の頂部で半球形に集まって咲く。紅紫色になるのが普通だが、白やピンク、それらの中間色になるものもある。
・苞と呼ばれる花の基部は球形で、これにもトゲがある。触れるとネバネバするため、これにちなんだノミトリバナ(蚤取花)という別名がある。また、花の形を化粧用のブラシに擬え、地方によってはマユツクリ(眉作り)やキツネノオシロイバケ(狐の白粉刷毛)と呼ぶ。
・春から夏にかけて採取した若葉や茎は、揚げ物や油炒めにして食べることができる。根は薬用になり、生のまま摺り潰したものは腫れ物に、また、乾燥させた根を煎じたものは利尿や神経痛に効果があるという。
【ノアザミの開花季節】
・5~8月
【花の色など】
・紅紫、白、ピンク
【背丈】
・50~100cm
【ノアザミの品種】
・ドイツアザミ
ノアザミの園芸品種で、江戸時代から昭和初期まではハナアザミと称していた。原種より背丈が低くて扱いやすいこと、花色にバリエーションがあること、ハウス栽培が可能なことから市場での流通が多い。ドイツとは関係なく、花の上品さをドイツという響きで表したものと思われる。