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ヤマモミジ/やまもみじ/山紅葉
Yama-momiji(Japanese Maple)
【ヤマモミジとは】
・北海道と本州の北中部(青森県から島根県)に分布するカエデの仲間で、日本海側の山地に多い。太平洋側に分布するイロハモミジ、オオモミジと共に日本のカエデを代表する樹種であり、新緑や紅葉の美しさを観賞するため庭木や盆栽として使われる。
・葉はイロハモミジよりもやや大きく、直径5~11センチほど。7~9つに裂け、その先端は尾状に鋭く尖る。縁にはイロハモミジと同じように二重のギザギザが不規則に生じており、一重のギザギザが端正に並んでいるオオモミジとは異なる。枝は細く、枝分かれが多い。
・秋の紅葉は同一の木でも日の当たり具合によって紅、オレンジ、黄色に染まり、紅葉の初期には透き通るような美しさとグラデーションを楽しむことができる。
・雌雄同株で、葉が展開する直前の5月頃に雄花と両性花を咲かせる。花はイロハモミジと同様に小さくて観察しにくいが、淡い紅色をした5枚の花弁と、先端(葯)が黄色い8本の雄しべがある。両性花の子房と呼ばれる部分には短い翼があり、細毛で覆われる。
・子房から変化した果実は長さ2センチほどのブーメラン型で、秋になると褐色に熟す。イロハモミジは枝葉に覆いかぶさるように果実ができるが、本種とオオモミジは枝にぶら下がるようにできる。種子の発芽率は高く、多くの園芸品種の台木(接ぎ木の土台)となる。
・樹高は最大で10mほどだが、山間に自生するのは5m程度のものが多い。樹皮は緑がかった褐色でツルツルしているが、樹齢を重ねると浅く縦に裂ける。材は建築や器具に使われるが、材木として流通するのは稀である。
【ヤマモミジの育て方のポイント】
・イロハモミジよりも冷涼な地を好むが、都会の植込みにも使われており、丈夫な性質を持つ。ただし、暖地ではあまり綺麗に黄葉しない。
・日当たりの良い場所を好むが、乾燥は苦手とする。土壌の悪い場所に植栽する場合は、植穴に腐葉土や堆肥を漉き込むのがよい。
・風通しの悪い場所ではうどん粉病やすす病に罹患し、若い枝葉にアブラムシが発生することもある。定期的な剪定によって枝葉の密生を避けた方がよい。
【ヤマモミジの品種】
ヤマモミジは数あるモミジの中で最も多くの園芸品種を作り出しており、アオシダレやベニシダレ(品種名:手向山)など、人気の高い枝垂れ性の母種にあたる。他にもオウシュウシダレ、ハゴロモ、サンゴカク、チリメンカエデ、アラカワショウ、ニシキガサネ、クラブヤマ、ツマガキ、シメノウチなど多数の園芸品種がある。
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ヤマモミジの基本データ
【分類】ムクロジ科/カエデ属
落葉広葉/高木
【漢字】山紅葉(やまもみじ)
【別名】ホンドウジカエデ
ヒロハネヤマモミジ
【学名】Acer palmatum
var.matsumurae
【英名】Yama-momiji
(Japanese Maple)
【成長】やや早い
【移植】簡(根は深い)
【高さ】5~10m
【用途】公園/庭木/盆栽
【値段】1000円~