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タチバナモドキ/たちばなもどき/橘擬き

Yellow firethorn

たちばなもどき,オレンジの実,棘
タチバナモドキは「黄色いピラカンサ」

 

【タチバナモドキとは】

・中国西南部(雲南省あたり)を原産とする常緑低木。光沢のあるオレンジ色の果実が美しく、庭木として利用される。本種は明治時代の半ばに、イチゴ栽培や日比谷公園の設計などで知られる福羽逸人氏がフランスから持ち帰り、新宿御苑に植えたものが起源とされる。

 

・本種とトキワサンザシ、ヒマラヤトキワサンザシ及びそれらの雑種をまとめてピラカンサ(ピラカンサス、ピラカンタ)と呼ぶが、植木ペディアでは最も扱いの多いトキワサンザシを、ピラカンサの項目に取り上げている。

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新葉の様子
たちばなもどき,ホソバトキワサンザシ,特徴
タチバナモドキの成葉

 

・葉は長さ5~6センチの細長い楕円形で、トキワサンザシよりも幅が狭いことからホソバトキワサンザシ(あるいはホソバノトキワサンザシ)との別名がある。

 

・葉は枝から互い違いに生じるのが基本だが、短い枝では多数が密生する。葉の裏には軟毛が密生し、灰白色に見える点もトキワサンザシとの違い。

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蕾の様子
たちばなもどき,開花時期
タチバナモドキの花は5~6月に咲く
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花の様子

 

・タチバナモドキの開花は初夏(5~6月)。花は画像のような色形だが、直径は5~8ミリほどと小さい。花言葉は「慈悲」「防衛」など。花弁と萼片は5つずつある。

細葉常磐山査子,実
未熟な実の様子
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熟した果実の様子
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色形はミカンよりもカキに近い

 

・花の後にできる果実は直径5~8ミリの扁平した球形で、12月から2月にかけてオレンジ色(あるいは黄色)に熟し、これを目当てに小鳥が集まる。

 

・果実の様子がタチバナ(一品種としてのタチバナではなく、ミカン全般を示す)に似るとして牧野富太郎博士によってタチバナモドキと命名された。

 

・果実の先端には萼片と呼ばれるものが残り、小さなカキのように見える。中にはゴマのような種子が一粒入っている。

ぴらかんさ,ピラカンサス
樹形は乱れやすい
たちばなもどき,樹木
枝には鋭い棘がある
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タチバナモドキの樹皮

 

 

【タチバナモドキの育て方のポイント】

・耐寒性、耐暑性が高く、乾地でも湿地でも育てられる。

 

・日向を好むが日陰でも育つ。ただし、花数は減る。

 

・排気ガスには弱い。

 

・枝は横に張り出しやすく、樹形が整えにくいため、実を観賞するものとして割り切るか列植して生垣とする。

 

・成長が早く、芽を出す力も相当に強い。放任すると間延びしながら繁茂するため、定期的に剪定する必要がある。剪定は11~12月が適期。樹齢は比較的長い。こうした性質を利用して盆栽とすることもできる。

 

・枝に鋭い棘があるため防犯用の生垣に使うが、その分、剪定しにくい。棘のないピラカンサ「ソーンレストヨダ」という品種もある。

 

・挿し木で容易に増やすことができる。 

 

【タチバナに似ている木】

トキワサンザシ

・ヒマラヤトキワサンザシ 

タチバナモドキの基本データ

 

【分類】バラ科/トキワサンザシ属

    常緑広葉/低木

【漢字】橘擬き(たちばなもどき)   

【別名】ピラカンサ/アリドオシ

    ホソバトキワサンザシ

【学名】Pyracantha angustifolia

    (Franch.)C.K.Schneid.

【英名】Yellow firethorn

【成長】早い

【移植】困難

【高さ】2m~4m

【用途】庭木/鉢植え/花材/盆栽

【値段】1800円~

 

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