ヤツデ/やつで/八つ手

Japanese Aralia

ヤツデ 画像
育て方が簡単で、昔から根強い人気がある
八つ手の冬芽,やつで
冬芽の様子
春,八つ手の木
ヤツデの芽出し
八つ手の新葉,やつで
新葉には茶褐色の綿毛があるが、すぐに脱落する
Japanese Aralia,leaf
若葉はピカピカしてビニール細工のよう 縁には浅いギザギザがある
Japanese Aralia
葉の裏面の様子
Japanese Aralia
古い葉は黄色くなって落ちる
ヤツデ,ツボミ
蕾の様子
Japanese aralia,flower
開花は花が少ない11月頃なので・・・
ヤツデ,やつで,虫
蜜を目当てに虫がよく集まる
八つ手の花が咲く時期
始めは白いが花が開ききるとオレンジの花盤が目立つようになり・・・
Japanese Aralia,flower
雄花(右)から雌花(左)に変化していく
八つ手の雌花
ヤツデの雌花(正確には雌性期)
ヤツデ,やつで,実,種
雌花の後には果実ができ・・・
テングノハウチワ,果実
冬を越えて・・・
八つ手の木の実
翌春にかけて黒紫色に熟す
ヤツデ,やつで,植木
樹高は2m程度のものが多い
八つ手,植木,写真
若い枝は緑色だが、二年目以降は灰白色になる

【ヤツデとは】

・福島県以南の本州、四国、九州及び沖縄に分布するウコギ科の常緑低木。日本の固有種で、海岸付近にある丘陵の林に自生する。日陰や大気汚染に強い性質を利用し、古くから観賞用の庭木として植栽される。

 

・手のひらを広げたような独特の葉や、観葉植物モンステラのような雰囲気が珍しがられ海外にも普及しており、中国での漢名は「八角金盤」という。 

 

・分厚くてピカピカした濃緑の葉には、長い柄と深い裂け目がある。手のひら様の葉が客を招き入れるとのゲンを担ぎ、飲食店の店先や玄関に植えられ、都会の雑踏の中で力強く生きる個体も多い。日陰に強いのは、葉が重ならないよう葉柄の長さを調整していることによる。

 

・葉は直径20~40センチと大きい上、15~45センチの長い柄が持ち、「天狗の団扇(うちわ)」という別名がある。新葉は裂けめが少なく、せいぜい三つに裂ける程度であり「鬼の指」という別名もある。

 

・「八つ手」とはいうものの、葉が八つに裂けることはなく、7つか9つに裂けることが多く、稀に5つ、あるいは11裂となる。いずれも奇数であるが縁起を担ぐため、あるいは単に「たくさん」を意味するためヤツデとなった。学名はFatsia japonicaだが、fatsiaは「八手(ハッシュ)」が転訛したものとされる。

 

・ヤツデの葉にはファトシンというサポニン配糖体が含まれており、古い時代にはこれを食べると死に至る(「大和本草」による)と考えられていた。それほど強い毒性はないが、痰を除く薬として煎じた葉を大量に飲んで中毒を起こした例もあり、誤飲すると嘔吐、下痢、腹痛の症状を招くとされる。乾燥させた葉を風呂に浮かべれば、リュウマチに効果があるいう民間療法があるが一般的ではない。

 

・ヤツデの開花時期は10月~12月で、茎の頂部から伸びた花茎に直径5ミリほどの白い小花が25輪ほど毬状に集まって咲く。花には春の花のような芳香があり、キンバエやハナアブなどの虫が多数集まる。

 

・雌雄同株だが雌花と雄花があるわけではなく、雄しべが伸びる雄性期の後に、雌しべが伸びる雌性期がやってくる。つまり、同じ花が時期によって性を変える仕組みになっているが、一番最後に咲く花は雄花のままで終わるため、一般的には両性花と雄花があると表現される。

 

・花の後にできる果実は直径5ミリほどの小さな球形で、緑から紫がかった茶色、そして黒へと変色しながら翌春(4~5月)にかけて熟していく。一粒の果実に5粒の種子が入っており、これを蒔けば容易に増やすことができる。

 

・ヤツデの幹は通常1本で、枝分かれは少ないが、稀に2,3本(株立ち)になることもあり、本数が増えるほど高値で取引される。若い幹は緑色だが、2年目以降の幹は淡い灰色になり、幹の上部には古い葉の跡が三日月形に残る。幹の内部には白くて太い髄があり、葉の茎までつながる。

 

【ヤツデの育て方のポイント】

・土質は選ばないが、やや湿った半日陰地を好み、強い日差しや北風には弱い。寒さにも弱く、東北地方の北部では成育が難しい。

 

アオキカクレミノと並び、日陰に耐える代表的な庭木であり、午前中に1~2時間の日差しが当たれば室内でも育てることができる。 

 

・時折、根元にテッポウムシが発生する以外は病害虫に強い。ただし、花の少ない時季に開花し、花を目当てに数多くの虫が集まる。ハエやアブもダメという人には向かない。 

 

・環境にもよるが基本的には芽を出す力が乏しい。寒冷地において強度の剪定をすると著しく樹形が乱れて枯れこむことがある。しかし、根が残っていれば新たな幹が生じるし、挿し木や株分けで増やすこともできる。

 

【ヤツデの仲間】

・ムニンヤツデ(ハビラ)

 ムニンヤツデ属の常緑小高木。小笠原諸島の特産で、枝分かれが多く、ヤツデよりも樹高が高くなる。ヤツデにも耐潮性があるがムニンヤツデはさらに耐潮性が高い。

 

・タイワンヤツデ

 台湾に分布するヤツデで、花の花柱が8~10本になる(日本のヤツデは4~6本)。

 

・カミヤツデ(ツウダツボク)

 カミヤツデ属の常緑低木で、中国本土の南部及び台湾を原産とする。葉は直径70センチほどでヤツデよりもかなり大きく、若い枝と葉の裏面に白い綿毛が密生する。日本でも育てられるが暖地向きであり、東日本では冬季に葉を落とす。茎にある白くて太い髄から、書道や造花で使う通草紙を作るため紙八手と呼ばれる。 

紙やつで,植木
カミヤツデは通草紙(つうそうし)を作る

 

【ヤツデの園芸品種】 

 ヤツデはどうしても日陰の印象が強く、時として陰鬱なイメージがある。このため白や黄色の斑模様が入るシロブチヤツデ、シロフヤツデ、フクリンヤツデ、キモンヤツデ、キアミガタヤツデなどといった品種が好まれる。流通名は「紬絞り(つむぎしぼり)」「スパイダーウェッブ」など。

ヤツデ,やつで,種類,品種
葉に模様が入る「斑入り」の品種

 

 

【ヤツデに似ている木】

ハリギリ

 落葉樹ではあるが、ヤツデと同じような形の大きな葉ができる。 

 

キヅタ

 蔓性植物だが、ヤツデと同じような花が咲き、同じような果実ができる。 

 

・ファトスヘデラ(ハトスヘデラ)

 ヤツデとセイヨウキヅタの交配種。半蔓性で葉は3~5つに浅く裂ける。斑入りの品種がより多く出回っている。 

 

ヤマウコギ

 ハリギリやキヅタ、そしてヤツデと同じウコギ科の落葉樹であり、似たような花と実ができる。若芽を食用にする。

ヤツデの基本データ

 

【分類】ウコギ科/ヤツデ属

     常緑広葉/低木 

【学名】Fatsia japonica 

【別名】ヤツデノキ/オニノユビ

    テングノハウチワ 

    テングノウチワ

【成長】やや遅い 

【移植】簡単 

【高さ】1~5m 

【用途】和風庭園/公園/店舗 

    シェードガーデン

【値段】800円~