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ヤツデ(八つ手)
Japanese Aralia












【ヤツデとは】
・福島県以南の本州、四国、九州及び沖縄を原産とするウコギ科の常緑低木。日本の固有種で、海岸付近にある丘陵の林に自生する。掌を広げたような独特の形状や観葉植物のような雰囲気が珍しがられ、海外にも普及している。
・分厚くピカピカした葉には長い柄と深い裂け目がある。葉の形を手のひらに見立て、客を招き入れるとのゲンを担ぎ、飲食店などの店先に植えられることが多い。葉の直径は20~40センチで大きいため「天狗の団扇(うちわ)」という別名がある。
・「八つ手」とはいうものの、葉の裂け目は7つ、9つが多く、稀に5つ、あるいは11となる。いずれも奇数であり、縁起が悪いと考えられるため、縁起を担いでヤツデ(八つ手)としている。
・ヤツデの葉にはサポニンという物質が含まれており、古い時代にはこれを食べると死に至る(「大和本草」による)と考えられていたが、それほど強い毒性はない。乾燥させた葉を風呂に浮かべれば、リューマチに効果があるいう民間療法があるが一般的ではない。
・ヤツデの開花時期は11月~12月で、白い小花が鞠状になる。小さな五弁花が25棆ほど集まってできており、春の花のような芳香がある。雌雄同株だが花には雄性の花と雌性の花とがあり、雄性の花は、よく見ると短かい花柱が合体している。雌性の花の方がより多い。
・花の後にできる果実は緑から茶色、黒へと変色しながら翌春(4~5月)にかけて熟していく。一粒の果実に一粒の種子が入っており、これを蒔けば容易に増やせる。
・ヤツデの幹は通常1本で、枝分かれは少ないが、稀に2,3本(株立ち)になることも。また、
【育て方のポイント】
・土質は選ばないが、湿地を好み、強い日差しや北風には弱い。寒さには弱く、東北地方の北部では成育が難しい。
・アオキやカクレミノと並び、日陰に耐える代表的な庭木であり、午前中に1~2時間の日差しが当たれば室内でも育てることができる。
・病害虫に強いが、花の少ない時季に開花するため、ヤツデの花を目当てに数多くの虫が集まる。
・寒冷地では芽を出す力に乏しく、強度の剪定をすると著しく樹形が乱れて枯れこむことがある。しかし、根が残っていれば新たな幹が生じるし、挿し木や株分け増やすこともできる。
【類似種・園芸品種】
・ヤツデはどうしても日陰の印象が強く、時として陰鬱なイメージがあるため、斑入りの「紬絞り(つむぎしぼり)」という品種が好まれる。
【葉が似ている木】
・ハリギリ
ヤツデの基本データ
【分類】 ウコギ科/ヤツデ属
常緑広葉/低木
【学名】 Fatsia japonica
【別名】 テングノハウチワ /テングノウチワ
【成長】 やや早い
【移植】 簡単
【高さ】 1m~5m
【用途】 和風庭園/店舗
【値段】 1000円~