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ミヤマシキミ/みやましきみ/深山樒
Japanese skimmia
【ミヤマシキミとは】
・本州から九州の山地に見られるミカン科の常緑低木。10月頃に成熟する赤い果実はマンリョウなどと同様に、冬の庭園に彩を添えることから、主に暖地の庭に用いられ、地方によっては仏花や正月の飾り花とする。
・ミヤマシキミの葉は長さ10センチほどと大きめ。ぶ厚くて光沢があり、縁にはギザギザがない。葉にはミカン科の特徴である油点と呼ばれるものが点在し、葉をちぎるとミカンのような香りがある。
・4~5月になると直径1センチほどの小さな白い四弁花が円錐状に集まって咲く。雌雄異株であり雄株には雄花が、雌株には雌花が咲くが、前者の方が香りが強く、また、朝よりも夕方の方が香りが高い。
・花の後にできる果実は直径1センチ近くで、マンリョウよりも大きいため、容易に区別できる。かつて本種をマンリョウと称して売っていたこともあるが、果実がより大きいため「オクリョウ(億両)」という呼び名もある。
・お金にちなんだ庭木はほかに、センリョウ(千両)、ヒャクリョウ(カラタチバナ)、ジュウリョウ(ヤブコウジ)、イチリョウ(アリドオシ)がある。
・ミヤマシキミ属に属する樹木は日本のほか、中国、フィリピン、ネパール等に分布し、その種類は4~10とされる。
【ミヤマシキミの育て方のポイント】
・寒さにやや弱く、植栽の適地は東北南部以南となる。
・湿気と養分の多い場所を好む。日陰に耐えるため、他の樹木の陰になるような場所にも植えることができる。半日陰程度が丁度良い。
・剪定を嫌うが成長が遅く、それほど手間はかからない。実生、挿し木、株分けで増やすことができる。
・果実がなるのは雌株だが、稀に雄株にも実がなることがある。
・ミヤマシキミの葉や果実には有毒成分であるアルカロイドのシキミアニンを含む。、誤食すると痙攣、血圧降下、心筋麻痺を引き起こすため、植える場所には十分に注意する必要がある。
【ミヤマシキミの品種】
・リュウキュウミヤマシキミ(琉球深山櫁)
沖縄に分布する品種で、葉のみならず木全体が大きい。
・ウチダシミヤマシキミ
葉脈が葉の裏側に打ち出されたように隆起する品種。「内田氏」ではなく、「打ち出し」である。
・ほかに園芸品種として、ルベラ(蕾が紅い)、ナイマンズ(実が大きい)、フルクツアルボ(実が白い)などがある。
【ミヤマシキミとシキミの見分け方】
・ミヤマシキミは、山奥に生える、葉がシキミに似た木という意味合いで名付けられたものだが、実際はシキミよりも低い山に多く、葉はより大きい。葉の質感は観葉植物のカポックなどに近く、シキミとは全く異なる。なお、シキミはシキミ科であり根本的に両者は異なる。
ミヤマシキミの基本データ
【分類】ミカン科 ミヤマシキミヤ属
常緑広葉 低木
【漢字】表記:深山樒(みやましきみ)
【別名】オクリョウ(億両)
ミタチバナ(実橘)
【学名】Skimmia japonica
【英名】Japanese skimmia
【成長】遅い
【移植】簡単
【高さ】0.5m~1m
【用途】下草/和風庭園
【値段】1200円~