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ムクゲ/むくげ/木槿
Rose of sharon
【ムクゲとは】
・中国などの東アジアを原産とするアオイ科の落葉樹。中国で最も古い詩篇「詩経」にもその名が見られるほど人との関わりは長く、紀元前11~6世紀から栽培され、現代では世界中の温帯で広く育てられる。
・ムクゲが日本に渡来したのは平安時代で、園芸が盛んだった江戸時代以降は多くの品種が作られるようになった。花には五弁の一重、八重、半八重咲きがあり、花色もピンク、白、紅紫、水色など多様。
・夏から秋にかけてずっと咲いているような印象があるが、一輪一輪は一日で散る「一日花」。次々に開花するため木全体としての花期が長い。主な開花期は8~9月で、早い時間帯ほど花色は鮮やか。
・花はその年に伸びた枝の葉の脇に咲く。花弁は5枚で中心部は紅色になるものが多い。シベは多数の雄しべの集合体が花柱(雌しべ)を包み込むような構造で興味深い。花の後には乾いた果実ができ、10月頃に熟すと五つに裂けて種子を出す。
・葉は枝から互い違いに生じ、5~20ミリの葉柄がある。縁には不規則なギザギザがあり、3本ある葉脈が目立つ。ムクゲは挿し木したものが翌年に開花するほど生命力がすさまじく、朝、鮮やかに咲くこともあいまって、韓国(朝鮮)ではムクゲを国の花としている。
・ムクゲという名前は中国名の「木槿(モクキン)」あるいは韓国名の「無窮花(ムグンファ)」が転訛したもので、後者は花が咲き続けること(花に困らないこと)を意味する。
・ムクゲと呼ばれるようになったのは鎌倉時代以降で、それ以前は今も別名として残る「ハチス」や「キハチス」と呼ばれていた。キハチスは「木に咲くハス(蓮)」の意味。ハチスは開花後のハスの花が蜂の巣に見えることに由来する。
【ムクゲの育て方のポイント】
・日照さえあれば放置しておいても育ち、よほどの日陰や痩せ地でない限り開花する。ハイビスカスの仲間だが韓国で育つことから分かるように耐寒性がある。
・枝は繊維質でやや剪定しにくいが、幹を途中で切断するなどといった相当強い剪定にも耐える。花はその年に伸びた枝の先につくため、春以降に剪定すると花数が減る。
・かつては垣根に使われることが多かったが、落葉性で目隠しにならないことや、大きくなり過ぎることから垣根としての需要は減っている。
・夏季にハダニの被害が見られることもあるが、それ以外は病害虫に強い。
【ムクゲに似ている木】
・フヨウ
・ハマボウ
【ムクゲの品種】
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ムクゲの基本データ
【分類】アオイ科/フヨウ属
落葉広葉/低木
【漢字】木槿/槿(むくげ)
【別名】ハチス/キハチス
モクゲ
【学名】Hibiscus syriacus
【英名】Rose of sharon
【成長】かなり早い
【移植】簡単
【高さ】2~5m
【用途】垣根/公園/花木
【値段】800円~