庭木図鑑 植木ペディア > マグワ
マグワ/まぐわ/真桑
White mulberry
【マグワとは】
・中国北部及び朝鮮半島を原産とするクワ科の落葉高木。ヤマグワと同様、かつて養蚕のために田畑で栽培していたものが各地で野生化し、日本各地に見られる。マグワが日本に渡来したのは安政3年(1856年)頃だが、その改良種も多い。
・葉は卵型~広い楕円形で直径は7~20センチほどでヤマグワよりも小さいものが多い。葉の色形には個体差があり、全く切れ込みのないもの、3~5つに裂けるものなど変移に富むが、表面は鮮やかな濃緑色で光沢があり、裏面は淡い緑色。葉先は尾状に尖るがヤマグワより短い。葉肉はヤマグワよりも厚く、蚕の飼料により適している。葉は枝から互い違いに生じる。
・マグワの開花は4~5月で、花は若い枝葉の基部に咲く。雌雄異株で雄の木には雄花が、雌の木には雌花が咲く。雄花は淡い黄色でヤマグワよりも長く垂れ下がる。雌花の花柱(雌しべ)はヤマグワよりも短く、ヤマグワでは先端がY字になるが、マグワはV字になる。
・花の後にできる果実は小さな果実が複数合体した「複合果」で、長さは2~3センチほど。でき始めは白色だが後にピンク色、赤紫色に変わり、黒紫色に熟す。形はヤマグワに似るが、上記のように残存する花柱はより短い。
・熟した果実にはほんのりと甘味があり、ヤマグワと同様、食用になる。マグワは16世紀の終わりにヨーロッパへ伝わり、以後、世界中の温帯に普及した。諸外国では街路樹として使う例もあるが、果実が落ちて見苦しくなるため、実のならない変種を接ぎ木して使っている。
・樹高は最大10m、幹は直径50センチほど。幹は直立して枝分かれが多く、若い枝は緑色だが樹齢を重ねると灰白色になる。材は堅くて光沢があり、床柱、家具などに使う。また、樹皮は製紙の原料となり、乾燥させた根の皮は漢方で「桑白皮(ソウハクヒ)」と呼び、咳止めや利尿に用いる。
【マグワの育て方のポイント】
・丈夫な性質を持ち、放任しても育つが、枝葉は生い茂る。
・雌雄異株であり果実ができるのは雌株のみだが、両性花もある。
【マグワに似ている木】
・カジノキ
・コウゾ
マグワの基本データ
【分類】クワ科/クワ属
落葉広葉樹/小高木
【学名】Morus alba
【英名】White mulberry
【漢字】真桑
【別名】トウグワ(唐桑)
【成長】早い
【移植】普通
【高さ】10~15m
【用途】果樹/養蚕
【値段】1500円~