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ハナイカダ/はないかだ/花筏
Japanese Helwingia
【ハナイカダとは】
・北海道南西部から九州(南西諸島含む)までの広い範囲に分布するミズキ科の落葉低木。自生地は山林の木陰や水辺近くで、複数の株が群生することが多い。葉の表面中央にできる奇抜な花や果実に観賞価値があり庭木として使われるほか、若葉を山菜として利用する。
・ハナイカダという名は、花や果実の様子を筏(イカダ)に乗った船頭に見立てたもの。また、別名のママッコ、ママコナ、ママコノキは、花や果実の様子を子供のママゴトに見立てたもの、あるいは枝から離れてできる花や果実を継子(ままこ)に擬えたものとされる。
・開花は4月から5月。雌雄異株で雄株には雄花が3~5個ずつ、雌株には雌花が一個ずつ咲く。葉の中央に伸びた短い柄の先にでき、雄花には黄緑色の花びらが3~4枚、雄しべも3~4本ある。雌花には同じく3~4枚の花弁があるが雄しべはない。花の大きさは雌雄ともに直径5ミリほど。
・雄花は咲き終えると消滅するが、雌花は次第に大きくなって緑色の果実になり、8~9月ごろに黒紫色に熟す。黒豆のようなこの果実は暗闇の中でも目立ち、森の生き物たちが好んで食べる。人間の食用にもなり、生あるいは果樹酒にして用いる。中国では煎じたものを胃腸薬として使う。
・葉は長さ3~10センチ、幅2~6センチの楕円形で先端が尖り、枝から互い違いに生じる。葉の縁にある細かなギザギザは先端がヒゲ状になる。小枝は緑色で、枝の内部には髄と呼ばれる白い管が通り、枝の出方は同じミズキ科のミズキに似る。
・晩春から初夏に採取した若葉はクセのない味だが、加熱すると松茸のような香りがあり、天婦羅、御浸し、佃煮などにして食用する。中国では乾燥させた葉を煎じたものが下痢止めに使われる。
【育て方のポイント】
・土質は選ばないが、自生地は湿気のある日陰が多く、乾燥には弱い。日差しの厳しい場所では葉が見苦しくなる。
・幹は分岐して株立ち状に育つのが普通。環境に適応すれば2m程度まで育つが剪定は苦手とする。邪魔になるような場合は、株元から切り除いて幹の数を整理するのがよい。
【ハナイカダに似ている花木】
【ハナイカダの品種】
・ハナイカダ オーレア
葉に模様が入る園芸品種
・コバノハナイカダ
文字どおり葉が小さい品種
・リュウキュウハナイカダ
沖縄を原産とする品種で、葉に光沢があるのが特徴。
ハナイカダの基本データ
【分類】 ミズキ科 ハナイカダ属
落葉広葉樹 低木
【学名】 Helwingia japonica
【別名】 嫁の涙/ママッコ/ヨメナノキ
ツキデノキ/ママコナ/ママコノキ
【成長】 やや早い
【移植】 普通
【高さ】 1m~2m
【用途】 雑木の庭
【値段】 1000円~