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フサスグリ/ふさすぐり/房酸塊

Red currant

フサスグリの実,ふさすぐり
果実には艶と透明感がある
フサスグリ,Red currant,leaf
葉は3~5つに裂ける
レッドカラント,果実
実が熟すのは6~8月
房すぐり,植物,ふさすぐり
樹高は最大でも150センチほど

【フサスグリとは】

・ヨーロッパ西部~アジア北西部を原産とするスグリ科の落葉樹。1873年(明治6年)に日本へ渡来し、夏に熟す果実を観賞あるいは実用するため、寒冷地を中心に栽培される。

 

・スグリは果実が単独でできるが本種は房状にできるため、フサスグリと名付けられた。「スグリ」の由来は嘘のようだが「酸っぱくてクリっとした実」にあるという。近年は「レッドカラント」として流通することが多い。

 

・スグリの仲間は北半球に150を超える品種があり、日本にも中部地方で稀に自生する在来のスグリがあるが、一般的にスグリという場合はセイヨウスグリ(グースベリー)を指すことが多い。 

 

・フサスグリの開花は4~5月。前年に伸びた枝葉の脇に長さ5~10センチの花茎を出し、黄緑色の小花を多数咲かせる。花弁は小さな皿のようで目立たず、それを囲むように反り返る萼が花弁のように見える。

 

・花の後には直径5~8ミリほどの小さな果実が房状にでき、6~8月に熟す。果実は赤あるいは白に熟し、いずれも食用するが、赤い実は酸味が強過ぎて生食に向かない。加工してジャムやスイーツのデコレーションに、色合いと香りが良いため果実酒にすることもある。アントシアニンを多く含むため、健康商品としても注目される。

 

・フサスグリの葉は直径5~12センチの円形。カエデのように3~5つに裂け、縁には粗いギザギザがある。葉は枝から互い違いに生じる「互生」で、葉の両面と葉柄には毛がある。若い枝にも細かな毛が密生するが、セイヨウスグリなどに見られるトゲはない。

 

【フサスグリの育て方のポイント】

・冷涼な土地を好み、特に夏の暑さと乾燥を苦手とする。地植えに適するのは北海道や北日本。その他の地域では鉢植えで管理するのがお勧め。

 

・高温と直射日光に弱いため、地植えの場合は半日陰の涼しい場所に植える必要がある。午前中は十分に日が当たり、午後は日陰になるような場所が理想。特に西日対策はしっかりと行いたい。

 

・保水性と排水性のある土を好むため、植穴には完熟堆肥を漉き込んで、腐植質を確保したい。 

 

・結実は2~3年目の枝に多く、一年目の枝には実がならない。枝は株立ち状に多数伸びるため、必要な枝以外は根元で切除する。

 

・病害虫の影響も受けやすく、風通しが悪い場合はハマキムシ、アブラムシ、テッポウムシ、うどん粉病などの被害に遭うことがある。

 

【フサスグリの品種】

・シロフサスグリ

 白い実がなる品種。

 

・クロフサスグリ(ブラックカラント)

 「カシス」として知られる黒い実がなる品種。主な生産地は北欧、カナダ、ニュージーランド。

 

・アカフサスグリ(R.sativum)

 フサスグリの別名にもアカフサスグリがあってややこしいが、葉が長さ3~7センチで小さめの品種。これもヨーロッパ産。

 

【フサスグリに似ている木】 

・マルスグリ(セイヨウスグリ/グースベリー)

 

 ヨーロッパ及び北アフリカを原産とする近縁種で、家庭用の果樹としてはフサスグリよりも数多く栽培される。枝には三つに分かれたトゲがあり、緑あるいは濃い紫の実がなる。

 

・エゾスグリ

 北海道などに見られる落葉低木で紅紫色の花が咲く。このほか日本にはトガスグリ、ザリコミ、コマガタケスグリ、ヤシャビシャクなどのスグリが自生する。

 

ヤブサンザシ 

フサスグリの基本データ

 

【分類】スグリ科/スグリ属

    落葉広葉/低木 

【漢字】房酸塊(ふさすぐり)

【別名】アカスグリ/ツルスグリ

    アカフサスグリ

    レッドカラント

【学名】Ribes rubrum

【英名】Redcurrant 

【成長】早い

【移植】簡単

【高さ】0.5m~1.5

【用途】果樹/垣根

【値段】1500円~

 

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