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ヤマグルマ/やまぐるま/山車
Yama-guruma
【ヤマグルマとは】
・山形県以南の本州から沖縄にかけた山中に見られる常緑高木。花や枝葉が車輪状に生えることからヤマグルマという。屋久杉と共存する屋久島のヤマグルマが特に有名。
・5~6月にかけて画像のような黄緑色の花(雌雄同株)を咲かせる。花弁も萼もなく、それほど美しいものではないが、普段は地味な存在であるがため、花の時期にはかえって人目を惹く。
・平凡な外観とは裏腹に白亜紀には既に存在していたという、生きた化石のような木であり、広葉樹の中で唯一「導管」がないことで知られる。針葉樹のように根から吸収した水分は仮導管で葉へ運ぶ。このため良質な材として加工品に用いられる。
・樹皮からトリモチを作ったことから、トリモチノキという(モチノキはヤマグルマの代用)。樹皮は特徴のない灰褐色で、経年とともにコブが出てくる。
・春に出た葉が最も大きく、次第に小さな葉に代わっていく。新芽の頃、花が咲く頃、それぞれに奇抜な色合いに変化するため、一見地味な木だが、見どころは多い。
・ヤマグルマ属の樹木は他になく、シーボルトは「日本植物誌」において本種を、新種として発表した。山野や庭園で頻繁に目にするような樹木ではないが、日本以外でも韓国の済州島や台湾に自生が見られる。
【ヤマグルマの育て方のポイント】
・比較的温暖な山地の岩場に自生するため、寒さに強い。南にいくほど大木となり、中には高さ20mに達するものもある。寒さにはやや弱く、山形県あたりが北限とされる。
・成長スピードが遅く、管理に手間がかからない。しかし、高さと幅がほぼ同じように成長するという特徴を持つため、見映えをよくするには、ある程度のスペースが必要。
【ヤマグルマに似ている木、見分け方】
アワブキ科のヤマビワと葉が似ているが、ヤマグルマの葉はツルツルで人工的な印象さえするのに対し、ヤマビワの葉はくすんだ感じがする。また、ヤマビワはヤマグルマと同じような輪生状に見えるが、よく見ると枝先にまとまっているに過ぎない。
ヤマグルマの基本データ
【分類】ヤマグルマ科 ヤマグルマ属
常緑広葉 高木
【漢字】山車(やまぐるま)
【別名】トリモチノキ
【学名】Trochodendron aralioides
【英名】Yama-guruma
【成長】遅い
【移植】簡単
【高さ】15m~20m
【用途】シンボルツリー/公園樹
【値段】5000円~