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ヤブニッケイ/やぶにっけい/藪肉桂

Japanese wild cinnamon

やぶにっけい,Japanese wild cinnamon
ヤブニッケイの葉には独特の香りがある
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ヤブニッケイの冬芽
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新芽と蕾の様子 若葉は赤褐色を帯びる
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ヤブニッケイの花は6月に咲く
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直径5ミリほどで目立たない
Japanese wild cinnamon
ヤブニッケイの葉
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葉の裏側の様子
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花の後には実ができ始め・・・
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10~11月頃に黒く熟す
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高さは10mを超える
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ヤブニッケイの樹皮

【ヤブニッケイとは】

・福島県以西の本州、四国、九州及び沖縄に分布するクスノキ科の常緑樹。よく似たニッケイは中国生まれだが、本種はスダジイタブノキがあるような山地の藪に自生する在来種で、葉や樹皮にニッケイに似た香りがあるためヤブニッケイと呼ばれる。

 

・花や実に特徴がないためあまり目立たないが、枝葉が密生することや性質が丈夫であることから、目隠しや防風など実用的な目的で庭園や公園に植栽されることがある。日本以外では中国南部や韓国に見られる。

 

・葉は長さ7~10センチでニッケイより小さく、3本ある葉脈はニッケイよりも不明瞭で、両端の2本は葉の縁まで達しない。また、ニッケイの葉は先端が尖り気味だが本種は長楕円に近い。葉は枝から互い違いに生じる互生。

 

・葉の表面には光沢があり、暗がりでもピカピカした感じだが、裏面は黄緑色か灰白色になる。葉にはクスノキ科特有の芳香があり、臭みを消すため、魚料理にこの葉を使う地方もあるが、ニッケイほど強い香りではなく、香辛料には向かない。

 

・ヤブニッケイの開花は6月。淡いクリーム色をした小さな花が数輪ずつ、まばらに咲く。雌雄異株で花が終わるとメスの木には、水分を含んだ果実ができる。

 

・果実は直径1~2センチの球形あるいは楕円球で、10~11月になると黒紫色に熟す。鳥が好んで食べるこの種子には油脂を含み、蝋燭などに使うことができる。

 

・樹皮は暗い褐色あるいは灰色がかった褐色になる。ニッケイは根をニッキとして使ったため個体数が激減したが、ヤブニッケイからはニッキが採れないため、現存する個体数はヤブニッケイの方が多い。

【ヤブニッケイの育て方のポイント】

・乾燥に強く、植え場所もあまり選ばない。

 

・比較的、安価に目隠し用の垣根を作ることができる。

 

・剪定を嫌う傾向があり形が乱れやすい。広めのスペースで伸び伸びと育てるのがよい。

 

・自生していたものは移植が難しい。

 

・その土地に元々あったヤブニッケイを風景に採り込む、あるいは海辺の町で、代々、風除けに植えていたというケースが多いが、時折、苗木として販売されるものもある。 

 

・八丈島のヤブニッケイは「ヤブニッケイもち病」に罹ることがあるが、これは同島にのみ見られる菌類によるもの。 

 

【ヤブニッケイに似ている木】 

ニッケイとの違い

 ともに3本の葉脈が目立つが、ニッケイの葉脈が葉の縁まで達するのに対し、ヤブニッケイは途中で消える。また、ニッケイの葉の方が芳香が強い。ニッケイの仲間にはほかにマルバニッケイやシバニッケイがある。 

 

シロダモとの違い 

 

 これもクスノキの仲間でよく似るが、シロダモは葉の裏側がより白いこと、葉の裏側の葉脈がボコッと飛び出していることで見分けられる。なお、ヤブニッケイの別名には「クロダモ」がある。

シロダモ ヤブニッケイ 違い 見分け
シロダモの葉っぱの裏側
ヤブニッケイとシロダモの違い
ヤブニッケイの葉っぱの裏側

・コヤブニッケイ

 小笠原諸島に分布する常緑樹で、ヤブニッケイよりも明らかに葉が小さい。葉にクスノキ科特有の香りがあるが、現地ではチャノキの代用にするという。

小やぶにっけい
コヤブニッケイ

ヤブニッケイの基本データ

 

【分類】クスノキ科/クスノキ属

    常緑広葉/高木

【漢字】藪肉桂(やぶにっけい)  

【別名】クロダモ/マツラニッケイ

    クスタブ/ナンジャモドキ

    ウスバヤブニッケイ  

【学名】Cinnamomum yabunikkei

【英名】Japanese wild cinnamon

【成長】早い

【移植】難しい

【高さ】8~20m

【用途】街路樹/垣根/公園 

【値段】500円~

 

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