庭木図鑑 植木ペディア > ニッケイ

ニッケイ/にっけい/肉桂

Japanese cinnamon tree

にっけい,肉桂,木,特徴
樹皮が香料や薬、根がお菓子の「ニッキ」になることで知られる
にっけい,植物,ニッケイ
冬芽の様子
ニッケイの木,樹木
冬芽の様子
にっけいの木,新芽
芽出しの様子
肉桂,樹木
芽出しの様子
Japanese cinnamon tree
新葉の様子
ニッケイ,にっけい,木,葉っぱ,特徴
クスノキと同じように3本の葉脈が目立つが、葉の幅は狭い
肉桂,にっけい,葉っぱ,特徴,画像
葉の裏側は白い
Japanese cinnamon
蕾の様子
肉桂の花,にっけい,時期
6月頃にひっそりと開花する
にっけい,肉桂の花,画像
ニッケイの花
蟻と肉桂
花一輪はクロアリの倍ほどの大きさ
Japanese cinnamon tree
花弁のように見えるのは萼で4枚ずつが二段に生じる
にっけい,ニッキの木,開花写真
受粉後の花か、柱頭が黒ずむものもある
ニッケイの花,画像,にっけい
花が終わった頃の様子
肉桂の実,にっけい,黒,時期
秋には黒い果実ができる
肉桂,樹木,にっけい
果実は直径1センチ弱
Japanese cinnamon tree,fruits
熟しきった果実の様子
Japanese cinnamon tree
成長は早く、樹高は最大15m程度になる

 

【ニッケイの特徴】

・クスノキ科クスノキ属の常緑高木。ニッケイという名前は中国名「肉桂」の音読みで、かつては中国雲南地方、ベトナムやインドネシアの原産と考えられていたが、沖縄や徳之島(鹿児島)に野生種が見付かり、学名も変更された。

 

・ニッケイの木が日本へ渡来したのは江戸時代だが、枝葉、樹皮、根に特有の強い香りがあり、香辛料や薬用として奈良時代から使われていたことが、史料から明らかになっている。

 

・昭和時代に駄菓子屋で、赤紙に束ねて売られていたニッキやニッキ水は本種の細根を利用したもの。古くは商業的に栽培されていたが、現在はより香味の高い中国産(シナニッケイ)に取って代わられた。

 

・京菓子の「八ツ橋」の香づけにも乾燥させたニッケイの樹皮や枝葉が使われる。ニッケイは生薬名を「肉桂皮」あるいは「桂皮」といい、漢方薬では「葛根湯」などに含まれ、頭痛、解熱、発汗、健胃に効能があるとされる。 

 

・正月に飲む御屠蘇(おとそ)も本来はニッケイ、サンショウキキョウオケラ、ミカンの皮、アズキなどを調合した屠蘇散(とそさん)を浸した酒で、邪気を払い延命を祈念するものであった。 

 

・「ニッキ」の印象が強くハッカと混同されがちだが、ハッカはペパーミントなどシソ科ハッカ属の葉から抽出するものであり根本的に異なる。また、シナモンケーキやシナモンティー、スパイスでお馴染みのシナモンは本来、セイロンニッケイの枝皮を乾燥させたもの。セイロンニッケイは日本でも観葉植物として親しまれる。 

 

・ニッケイの葉は革質で厚みのある楕円形。表面には光沢があり、先端は尖る。長さは10~15センチほどで、縁にギザギザはない。クスノキなどと同様に葉脈といわれる三本の線が目立ち、裏側は白味を帯びる。葉は枝から互い違いに生じる「互生」と、対になって生じる「対生」が入り混じる。

 

・ニッケイの開花は5~6月。あまり目立たないもののその年に伸びた枝葉の脇に、クリーム色の小花を咲かせる。 

 

・雌雄同株で、雄花と雌花の機能を併せ持つ両性花が咲く(諸説あり)。花の後には水分を含んだ直径1センチほどの果実ができ、11~12月頃になると黒紫色に熟す。 

 

・ニッケイの幹は直立し、樹高10m、直径1mほどになる。樹皮は茶褐色で油分が多く、噛むと辛味がある。

 

【ニッケイの育て方のポイント】

・寒さに弱く、植栽の適地は関東(茨城)以南となる。

 

・性質はクスノキとほぼ同様。大木となるが剪定には弱く、剪定によって樹形を乱しやすい。特に寒さに向かう時期に強めの剪定をすると、枝枯れを起こしやすい。

 

【ニッケイとヤブニッケイの見分け方】

 ・ニッケイの葉は先端が尖り気味で、ヤブニッケイは長楕円に近い。また、三本の葉脈はニッケイの方がはっきりしている。ニッケイの葉は噛むと甘いが、ヤブニッケイは甘味がない。

 

・ニッケイとヤブニッケイは一緒になって生えていることが多い。しかし、ニッケイは上述のとおり根を「ニッキ」として利用したことで個体数が激減したが、ヤブニッケイからは「ニッキ」が採れないため、現存する個体数は圧倒的にヤブニッケイが勝る。

ニッケイの木とヤブニッケイの木の違い
ニッケイの葉
特徴
ヤブニッケイの葉

 

【ニッケイの品種と近縁種】

丸葉肉桂,種類
マルバニッケイ(コウチニッケイ)は樹形が整いやすく庭木に向く
丸葉肉桂,樹木
マルバニッケイの花
沖縄の木
シバニッケイ(オキナワマルバニッケイ)は沖縄周辺に自生
chinese cinnamon tree
中国産のシナニッケイは香りが高い(若葉の様子)
cinnamon leaf
セイロンニッケイ(シナモン)はインドやスリランカを原産とし、葉が大きい

ニッケイの基本データ

 

【分類】クスノキ科/クスノキ属

     常緑広葉/高木

【漢字】肉桂(にっけい)    

【別名】ニッキ/ニッキノキ

    シナモン 

【学名】Cinnamomum okinawaense

【英名】Japanese cinnamon tree

【成長】早い

【移植】難しい 

【高さ】10~15m 

【用途】公園 

【値段】500円~

 

目次=掲載草木一覧=サイトマップ

 

検索 植木ペディア内を検索します↓