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オオイヌノフグリ/おおいぬのふぐり

Bird's-eye / Cat's eye

道端の雑草,あおい花
低地で春一番に咲く青い小さな花はコレ
いぬふぐり,花の画像
秋に出た葉は霜にあたって赤くなったまま春を迎える
Bird's-eye flower in Japan
蕾と葉の様子
オオイヌノフグリ,はなことば
開花は2~5月 花言葉は「信頼」「忠実」など 
おおいぬふぐり,雌しべと雄しべ
1本の細い雌しべを挟むように2本の青い雄しべがある
おおいぬのふぐり,開花
花冠は四つに裂け、うち一つは小さくて色が薄い
Bird's-eye grass in Japan
花の裏側の様子
おおいぬふぐり,実
名前の由来となる実(未熟)
畦道に咲く小さい青い花
葉や茎に細かな毛が密生する

【オオイヌノフグリとは】

・ユーラシア大陸及び北アフリカを原産とするゴマノハグサ科(あるいはオオバコ科)の二年草。春一番に咲く身近な花の一つであり、小さな青い花は、ホトケノザヒメオドリコソウと共に春の訪れを告げる。

 

・いわゆる帰化植物であり、明治時代の初期にヨーロッパから渡ったものが同20年頃、植物学者の牧野富太郎氏、大久保三郎氏らによって東京で発見された。寒暖を問わず丈夫に育って繁茂するため、大正時代までには北海道から沖縄まで日本全国に広がった。

 

・主な生息地は日当たりの良い空き地や道端、田畑の畔、川の土手などの低地。関東地方以西に在来するイヌノフグリよりも葉や花が大きいため、オオイヌノフグリと名付けられた。

 

・「フグリ」とは人の睾丸の古語で、果実の様子を犬の陰嚢に見立てたもの。同じ意味合いで「ヒョウタングサ」という別名もある。ルリカラクサ、ホシノヒトミ、ハタケクワガタなどの別名もあるが普及しておらず、オオイヌノフグリあるいは単にオオイヌフグリ、イヌフグリと呼ばれることが多い。

 

・開花は2~5月で、茎の上部にある葉の付け根から伸びた長い花柄に、直径7~10ミリほどの青い花を一輪ずつ咲かせる。花びらのように見える花冠は青色で、数条の縦縞が入って美しい。花冠は4つに裂けるが、そのうち3枚は大きくて色が濃く、残りの1枚は小さくて色が薄い。

 

・オオイヌノフグリの花が開くのは日差しがある日や時間帯で、曇りの日や夕方には閉じている。花が開くと小さな1本の雌しべと2本ある青い雄しべが目立つ。雄しべは自然に雌しべの方へ傾き、確実に受粉できる仕組になっている。

 

・一輪あたりの開花は1~2日で、早春に咲くのは前年に発芽して越冬したもの。春以降に発芽したものは夏から秋にかけて咲き、環境によっては12月頃に咲く場合もある。

 

・花が終わると二つの球を横に並べたような扁平したハート形の果実ができる。大きさは直径1センチほどで、蒴果と呼ばれるタイプの乾いたもの。表皮にはまばらに毛が生じ、これを後方から眺めた犬の陰嚢に見立てる。内部は二つに分かれ、小さな種子を抱える。

 

・葉は直径1センチほどの卵形。縁には粗いギザギザがあり、幼い葉はホトケノザに似るが葉脈の窪みがない。茎の下部にある葉には柄があり、対になって生じるが、上部の葉には柄がなく、互い違いに生じる。茎は分岐が多く、下部の茎は地を這うように四方へ広がり、上部の茎は群がりながら斜上する。葉や茎には柔らかな毛がある。

 

・学名はVeronica persiarで、Veronicaは十字架を背負って刑場へ向かうキリストの額の汗をぬぐったという伝説上の聖女ベロニカに由来。persiaはペルシャ産を意味する。

 

【オオイヌノフグリに似ている草花】

・タチイヌフグリ

 茎が立ち上がって高さ10~15センチほどになる品種。葉も花も小さいためオオイヌフグリほど目立たないが日本各地に分布する。花は全開せず、開花はオオイヌノフグリよりも遅い4~7月。

 

・イヌノフグリ

 オオイヌフグリと同じく地を這うように育つが、葉や花がより小さい。花は直径4ミリほどで、花色は淡い紅紫色。

オオイヌノフグリの基本データ

 

【分 類】ゴマノハグサ科クワガタソウ属

     二年草

【漢 字】大犬の陰嚢 

【別 名】イヌフグリ/ルリカラクサ

     ホシノヒトミ/ハタケクワガタ

     ヒョウタングサ

【学 名】Veronica persica

【英 名】Bird's-eye / Cat's eye

【開花期】2~5月

【花の色】青色

【草 丈】~40cm 

 

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