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カラマツ/からまつ/唐松

Japanese larch

カラマツ,からまつ
冬に葉を落とすのが大きな特徴
落葉松,新芽,からまつ
カラマツの冬芽
唐松,冬芽,からまつ
新芽の様子(3月下旬)
唐松,開花,からまつ
カラマツの雄花
からまつ,樹木
雌花は球果(まつぼっくり)となる
カラマツの雌花
受粉後の雌花はパイナップルのよう
からまつの木の新芽
新芽の様子(4月)
カラマツの葉っぱ 特徴
新緑の様子
Japanese larch
成長は早い
からまつ,葉っぱ
カラマツの葉(盛夏)
唐松,葉,画像,からまつ
葉の長さには個体差が大きく、5センチほどになるものもある
からまつ,カラマツ
落葉前(夏)の様子
落葉松の実
カラマツの球果
落葉松 紅葉 画像
黄葉の様子
からまつ,画像
黄葉の様子
Japanese larch,conifer
まつぼっくりは長い間 木の上に残る
からまつ,唐松
落葉後(冬)の様子
からまつの木
樹皮は暗い灰色
Japanese larch
樹齢を重ねると細長い鱗状に剥離する 
からまつ,樹木
幹の断面

【カラマツとは】

・蔵王山以南の本州中部に分布するマツ科の落葉高木。庭木として一般的に使われるクロマツアカマツとは異なり、成長がきわめて早い。このためもっぱら造林用として植栽されるが、新緑、黄葉あるいは落葉した樹姿が美しく、自生地付近では観賞用とすることもある。日本特産のマツとしては唯一の落葉性。

 

・名前の由来は落葉して葉がカラになる(あるいは枯れる)ことにちなむとする説、カラマツ林の様子が、唐時代の中国で描かれた絵画に登場するマツ林に似ているためとする説、単に外来のマツと考えられたことによるとする説がある。

 

・カラマツの葉は線形で長さ2~3センチ、幅1~1.5センチほどで、裏面には目立たない気孔線が2本ある。ヒマラヤスギに似た明るい緑色だが、葉先は尖っておらず、質感も柔らかいため、手で触れてもチクチクしない。長い小枝と短い小枝では葉の付き方が異なり、長い枝では螺旋状あるいは互い違いに生じ、短い枝には20~30本の葉が束状に生じる特徴を持つ。秋になると画像のように黄葉し、幻想的な風景を作る。

 

・天然の分布は長野県を中心とした標高の高い山地で、富士山麓(特に山中湖)にも多くのカラマツ林が見られる。北海道などその他の地域で見られるカラマツの多くは自生ではなく、1950年代に足場用の丸太を確保するため人工的に植林されたもの。黄葉の絶景で知られる浅間山麓のカラマツ林も江戸末期以降に植栽されたものである。

 

・カラマツの仲間は火災跡地や崩落地など、他の樹木が突然消えた間隙をついて真っ先に生じる木の一つ。火山地方に多いのはこの性質のためでもある。

 

・カラマツの開花は4~5月で新葉の展開と同時。雌雄同株で同じ木に雌雄それぞれの花が咲く。雄花は多数の小さな雄しべが集合して黄褐色の卵形となり、下向きに咲く。雌花は薄いピンク色をした「苞鱗」からなる楕円球で枝に直立し、その基部には新葉が密生する。

 

・球果(マツボックリ)は初夏にでき始め、秋(9~10月)になると黄褐色に熟す。直径は2~4センチ弱。種子はマヒワ、ハシブトガラ、ホオジロなどの野鳥が食べるが、抜け殻は翌春までの長い間、枝に残る。強風によって落とされ、他の樹木に引っ掛かっている様もよく観察される。

 

・カラマツは成長が早く、幹の直径は最大1m、樹高は30mにもなるが、富士山の山腹など環境の厳しい場所では、ハイマツを模したような低木状になることもある。

 

・樹皮は暗い灰色だが時にアカマツのような赤褐色になり、裂け目を生じ、長めの鱗片になって剥離する。材は節やヤニが多い上に狂いやすいため、質が優れているとはいえないものの湿気に強く、太くて真っすぐなわりに廉価であるためパルプ(集成材)、ガーデニング用の枕木、合板、壁板、フローリング、包装などに広く用いられる。人工的に植えられたカラマツよりも天然のカラマツの方が木目は細かい。

 

【カラマツの育て方のポイント】

・大木であり一般家庭の庭植えは珍しい。落ち葉掃除もラクウショウやメタセコイア並みに大変そうであり、管理人は個人の庭園に植栽された例を見たことはない。

 

・他のマツ類同様あるいはそれ以上に日向を好む陽樹であり、日陰では育ちが悪い。

 

・火山性土壌を好むが適応力があり、土質を選ばずに育つ。痩せ地や乾燥地にも耐える。

 

・寒さに強く、北海道でも植栽できるが、暑さには弱く、暖地では葉の観賞価値が下がる。夏の強い日射しを遮るものがない場所では、健全に維持するのが難しい。

 

・雄大な自然の樹形を観賞するのが望ましいが、萌芽力はあり、剪定に耐える。放任すれば枝は四方八方に伸びて立ち上がる。

 

・常緑性のマツに比べると寿命は短く、30年程度とされる。

 

【カラマツの種類

ヨーロッパカラマツ

 葉がより短く、松ぼっくりはより大きい。名前のとおり欧州に分布する。

 

・シコタンマツ(グイマツ)

 千島列島、樺太に生息する。カラマツとの区別は難しい。カラフトカラマツ、チシマカラマツとも呼ばれる。

 

 以上のほかに、シベリア極東北部に見られるダフリアカラマツ(シベリアカラマツ)、マンシュウカラマツ、、チョウセンカラマツ、ホクシカラマツ、ウンナンカラマツ、アメリカカラマツ、アラスカカラマツがある。

 

【カラマツに似ている木】

ヒマラヤスギ

 同じマツの仲間であり葉の形状が似るため、しばしば混同される。ヒマラヤスギは常緑性であり、葉に触れるとチクチクする。

 

イヌカラマツ

 中国東部及び南部を原産地とするイヌカラマツ属の落葉針葉樹で、中国では寺院を中心に庭木として使われる。カラマツよりも葉が大きいこと、球果(マツボックリ)が枝の上でバラバラになって種子を散布することなどが異なる。

 

ラクウショウ(落羽松)

 スギ科ヌマスギ属の落葉針葉樹。分類や性質は異なるが、同じように冬季に葉を落とす大木であること、カラマツの別名がラクヨウショウ(落葉松)であることから紛らわしい関係にある。

犬落葉松 特徴
イヌカラマツは、新芽と黄葉が黄金色だとして英語ではGolden larchという

カラマツの基本データ

 

【分類】マツ科/カラマツ属

    落葉針葉/高木

【漢字】唐松(からまつ)

【別名】落葉松(ラクヨウショウ)

       (ラクヨウマツ)

    富士松(フジマツ)

    日光松(ニッコウマツ)

【学名】Larix kaempferi

【英名】Japanese larch

【成長】早い

【移植】難しい

【高さ】15~30m(稀に50m)

【用途】公園/盆栽 

【値段】2000円~

 

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