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カラスザンショウ/からすざんしょう/烏山椒

Japanese Prickly-ash

からすざんしょう,木
日光を好み、枝葉を大きく広げる
ふゆめ,植物,からすざんしょう
カラスザンショウの冬芽
からすざんしょうの木
芽出しの様子
からすざんしょう,木の葉,カラスザンショウ
新葉は赤みを帯びる
烏山椒の木
カラスザンショウの葉
烏山椒,葉,からすざんしょう
葉は大きな羽根のようになり、枝先で放射状に広がる
Japanese Prickly-ash
裏面の様子
黄葉
紅葉期の様子
からすざんしょう,紅葉
黄葉して落下した葉の様子
Japanese Prickly-ash,tree
平地で美しく黄葉するものは少ない
あこうざんしょう
冬季の様子
からすさんしょうの木
カラスザンショウの幹
あこうざんしょう,植木
若い木の幹にはトゲがある
烏山椒の木の幹
大木になってもトゲの台座だったイボの痕が残る

【カラスザンショウとは】

・北海道を除く日本全国に分布するミカン科の落葉高木で稀に公園や街路に植栽される。落葉樹としては塩分に強く、自生は西日本の太平洋岸の丘陵に多いが、果実が野鳥によって拡散され、そこらじゅうの荒れ地に育つ。日本以外でも中国、韓国、フィリピン等に見られる。

 

・葉は長さ5~15センチの小葉が9~15対集まってできており、全体として長さ30~80センチの大きな羽根状になる。葉は濃い緑色で縁には浅いギザギザがあり、裏面は粉を吹いたように白くなる。

 

・葉の軸や裏面、枝に細かな棘があり、若い葉を揉むとミカン科に特有の強い香りがある。サンショウのように若芽や果実を食用とすることはないが、クロアゲハやカラスアゲハなどの蝶にとっては食草となる。

 

・カラスザンショウの開花は7~8月。雌雄異株で雄の木には雄花が、雌の木には雌花が咲く。花は直径5ミリほどで5枚の白い花弁と萼があり、雄花には5本の黄色い葯(雄しべ)が、雌花には緑色の雌しべと子房が見られる。一つ一つはあまり目立たない花だが、花序は長さ12~20センチにもなり、開花期には枝先で傘を広げたようになる。

 

・雌花の後にできる果実は直径5~6ミリの球形で、内部は三つに分かれている。11月~翌1月にかけて紫がかった紅色になり、熟すと自然に裂けて、サンショウ同様に黒くて艶のある種子が顔を出す。

 

・種子も球形で直径は2ミリほど。この果実をカラスが好んで食べるため、カラスザンショウと名付けられた。ヒヨドリ、ムクドリ、ヤマバト、メジロなどの野鳥にも好まれ、これらによって運ばれた種子があちこちで発芽する。

 

・樹皮は白っぽい灰色で、幹の直径は最大で60センチほど。複数の幹が株立ち状になることが多い。若い木の幹にはトゲがあり、老木になってもその痕跡がイボ状になって残る。樹形はケヤキのような逆三角形になることが多い。

 

【カラスザンショウの育て方のポイント】

・大木であることや、鳥の糞で勝手に増える木であることから、あえて家庭の庭に用いる例は少ないが、成長が早いため、早急に木陰を作りたい場合は活用できる。

 

・枝がまばらで剪定を好まないため、大木となった後に自然な樹形を維持できるだけの植栽スペースが必要となる。このため一般住宅よりは公園や街路に適する。

 

・伐採跡地に真っ先に生じるような木であり、日向であれば土を選ばずに育つ。

 

・幹や枝にトゲがあるため、通路に植栽する場合はトゲを取った方がよい。刺は簡単に手で取れる。

 

・他のミカン類同様、若葉はモンキアゲハやカラスアゲハなどアゲハチョウ類の幼虫に食害されやすい。

 

【カラスザンショウの品種】

・コカラスザンショウ

 本種とイヌザンショウの雑種であり、形態は両者の中間になる。

 

【カラスザンショウに似ている木】

・葉が大きな羽根状になる木には、ハゼノキキハダニガキニワウルシセンダンエンジュカイノキオニグルミゴシュユなどが、高木で幹にトゲのできる木には、サイカチハリギリがある。

 

・カラスアゲハ(蝶)が来る木には上記のキハダやミカン類のほか、コクサギがある。

カラスザンショウの基本データ

 

【分類】ミカン科 サンショウ属

    落葉広葉/高木

【漢字】からすざんしょう(烏山椒)

【別名】アコウザンショウ

【学名】Fagara ailanthoides

【英名】Japanese Prickly-ash

【成長】かなり早い

【移植】簡単

【高さ】5m~15m

【用途】公園

【値段】(市販は稀)

 

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