ハマユウ/はまゆう/浜木綿
Japanese crinum/Grand crinum lily
【ハマユウとは】
・関東南部以西の本州、四国、九州及び沖縄に分布するヒガンバナ科の常緑多年草。浜辺に育ち、葉がオモトに似るため標準和名はハマオモトだが、花を「木綿(ゆう)」に見立てた「ハマユウ」という名で呼ばれることが多い。暖地性であり、本州では千葉県南部~三浦半島の天神島以南に分布。宮崎県では県の花に指定している。
・開花は7~9月で、葉の間から伸びる花茎の頂部に10~30数輪ずつ傘状に集まって咲く。花は筒状で先端が6つに裂け、裂片(花被片)は長さ10センチ、幅1センチほどの細長い線形となって尖り、基部は長さ8センチほどの筒状になる。
・ハマユウの開花は夕方以降で、花が咲き始める日没の頃から周囲には南国を思わせるような甘い香りが漂うが、香りの強弱には個体差がある。蕾はヘラのような苞葉に包まれ、白い筆のように見えるが、咲き進むと花被片が反り返って雌しべと6本の雄しべが突き出し、船の錨のような形になる。花茎は太いが中空で、高さ80センチにも達する。
・花の後にはカブのような果実ができ、熟すと三つに裂けて大きな灰白色の種子が顔を出す。種子はコルク質の厚い種皮に包まれており、水に浮かんで漂流することによって遠隔地での繁殖が可能となる。
・葉は多肉質で表面は滑らか。長さ40~80センチ、幅10~15センチほどの帯状で先端は尖る。葉の形状には個体差があり、人が育てたものはストレートな葉になりやすいが、自生では周辺が波打ったうねりのある葉になりやすい。かつてはこの形状を利用して、鳥足の料理をつかむのに用いたという。
・茎のように見えるのは複数の葉柄が重なった偽茎で、その太さは5~10センチほど。円柱状で高さ40~60センチほどに育つ。本物の茎はその下にあって、地際から極短く伸びるのみ。
・茎に続く鱗茎(根)は色白の多肉質。この鱗茎や果実は食用になりそうだが、全株に有毒なリコリンを含んでおり、誤って食べると嘔吐、下痢、痙攣、全身麻痺を起こすため、取り扱いには注意する必要がある。
【ハマユウの品種】
・斑入りハマユウ
葉に黄色や白の細かな模様が入る品種で、園芸用に出回る。
・小笠原ハマユウ
小笠原諸島を原産とする品種。葉が大きく、偽茎が1mにもなるためオオハマユウとも呼ばれる。
【ハマユウに似ている草花】
・オモト
・ハマナス
ハマユウの基本データ
【分 類】ヒガンバナ科/ハマオモト属
多年草
【漢 字】浜木綿(はまゆう)
浜万年青(はまおもと)
【別 名】ハマオモト(これが標準和名)
【学 名】Crinum asiaticum
var.japonicum
【英 名】Grand crinum lily
【開花期】7~9月
【花の色】白
【草 丈】~80cm