ナガミヒナゲシ/ながみひなげし
Long-headed poppy
【ナガミヒナゲシとは】
・地中海沿岸のヨーロッパを原産とするヒナゲシ(ポピー)の仲間。花の形がヒナゲシに似るが果実が細長いため、ナガミヒナゲシと名付けられた。欧米では園芸用に種子が流通しているが、日本においては、いわゆる帰化植物であり、何らかの理由で持ち込まれたものが野生化し、各地の路傍、空き地、畑地に広がっている。
・ナガミヒナゲシが初めて注目されたのは東京都世田谷区で1961年のこと。コンクリートの隙間でも育つ堅強さ、一株で10万粒以上ともいわれる大量の種子を拡散させることから、特に2000年以降から急激に分布を広げ、今では沖縄を除いた各地で猛威を振るう。
・ナガミヒナゲシの開花は4~5月。花弁は2~6枚で、4枚のものが多く、花全体の直径は2~6センチになる。花色にも個体差があるが、オレンジ~サーモンピンクで、中には花弁に黒い斑点の入るものもある。花は細長い花茎の頂部に一輪ずつ咲き、萼は開花と同時に落下。花は時期をずらしながら次々に咲いていくため、花、蕾、果実を同時に見ることができる。
・果実は長さ2~3センチで、頂部には放射状に伸びる雌しべの跡がある。でき始めの果実は緑色だが、熟すと灰褐色となり、上部にあるフタのようなものに隙間を生じ、種子を落とす。柄が長いのは風による揺れを利用するため。発芽率が高く、荒地やアスファルトの隙間から生えた個体でも開花するほど繁殖力が高い。
・葉は根生葉と呼ばれるタイプでヨモギのような羽根状になるが、より肉厚で緑も濃く、両面に細かな毛を生じる。茎にも同様に毛を生じるが、上部の毛は伏せ、下部は立ち上がる。冬前に発芽してロゼット状で越冬する個体がある一方、発芽せずに種子で越冬する個体があるため、本種は一年草あるいは越年草とされる。
【ナガミヒナゲシに似た植物】
・ヒナゲシ
ヨーロッパを原産とするケシ科植物で、エジプトの壁画に描かれるほど古くから観賞用に栽培される。英名はポピー、漢名は虞美人草。
ナガミヒナゲシの基本データ
【分 類】ケシ科/ケシ属
一年草/越年草
【漢 字】長実雛罌粟
(ながみひなげし)
【別 名】ナガヒナゲシ
【学 名】Papaver dubium
【英 名】Long-headed poppy
【開花期】3~5月
【花の色】オレンジ
【草 丈】~60cm