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ヤマボウシ/やまぼうし/山法師

Japanese Dogwood/Kousa Tree

やまぼうし,山法師,樹木図鑑
条件が良ければ雪が降り積もったように咲く
山法師,冬芽,やまぼうし
冬芽の様子
ヤマボウシ,Japanese Dogwood
芽吹きの様子
ヤマボウシ,葉っぱ,やまぼうし
新葉の様子
樹木図鑑,やまぼうし
新緑の頃のヤマボウシも美しい
Japanese flowering dogwood,leaf
初夏を迎える頃には葉がビニール質になる
Japanese Dogwood,Kousa Tree
裏面の様子
手裏剣みたいな花,やまぼうし
5月上旬頃になると小さな手裏剣のような花がチラホラ
Japanese flowering dogwood,flower
中心部のコレが本来の花(まだ蕾あり)
ヤマボウシ,開花時期
ハナミズキと違い、花弁のような白い「総苞」の先端は尖る
Japanese flowering dogwood
花は日に向かって行儀よく並ぶ 
花の色
品種によって総苞の色は異なる(ピンク花)
やまぐわ
真夏のヤマボウシ
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花の後には果実ができて9~10月に熟す
ヤマボウシの実 食用
甘みがあって美味しいが・・・
ヤマボウシの実,やまぼうし
現代人はあまり食べない
ヤマボウシの実 画像
実がなっている時期の様子
やまぼうし 黄葉
ヤマボウシの紅葉
山法師,黄葉,やまぼうし
ヤマボウシの紅葉
やまぼうし,木,紅葉
環境や個体によっては真っ赤に色付く
Japanese Dogwood
裏面の様子
ヤマボウシとハナミズキ
樹皮はハナミズキより味わい深い

【ヤマボウシとは】

・東北南部~九州に分布するミズキ科の落葉小高木。低山の林地や草原に自生するが、初夏に咲く清楚な花や、晩夏に熟す赤い果実を観賞あるいは実用するため、公園、街路、一般家庭の庭にも植栽される。同属のミズキから進化したとされる。

 

・原産は日本、中国(漢名は「四照花」)及び朝鮮半島だが、1875年には日本からヨーロッパへ渡り、現在では多くの国で親しまれる。庭木として人気の高いハナミズキ(別名アメリカヤマボウシ)は本種の近縁種にあたる。

 

・ヤマボウシの開花は葉が展開し終えた5~7月頃で、ハナミズキよりも明らかに遅い。花は短い枝の先に伸びる長さ10センチほどの花柄に咲き、花びらのような「総苞片」が目立つ。総苞片は昆虫などを花の方へ誘引する役割を持ち、本当の花は総苞片の中心にある淡い黄緑色の球体で、30~40輪の小花からなる。

 

・個々の小花には雌しべ(花柱)が1本、雄しべが4本、「花被片」と呼ばれる小さな花弁のようなものが4枚ずつある。この集合花を法師の頭に、4枚の総苞片を頭巾に見立て、かつて山法師と呼ばれた比叡山延歴寺の僧兵にちなんでヤマボウシと名付けられた。総苞片の色は品種によって白、黄色、ピンク、赤と変化がある。

 

・果実は直径1~2センチほどの集合果で、長い柄に垂れ下がる。9~10月に赤く熟した果肉は柔らかくて甘みがあり、野生の猿は好んでこれを食べる。人間も、生食、果実酒、ジュース、シロップとして飲食できる。果実の形がクワに似るため、別名をヤマグワという。

 

・葉は長さ5~8センチほどの楕円あるいは卵形で先端が尖り、葉脈が目立つ。表面は濃緑色で艶があり、縁にギザギザはないが波打つようになる。葉の裏面は白っぽく、葉脈(側脈)の付け根には褐色の毛がある。

 

・葉は枝から対になって生じ規則的に並ぶが、先端付近では密生する。秋にはピンク、赤、時には紫に近い紅色に色付くが、寒暖差が乏しい都市部ではあまり綺麗に紅葉しない。

 

・幹は直立し、樹高は最大15mほどになる。成木の樹皮は暗い赤褐色だが樹齢を重ねると斑模様に剥離し、ナツツバキリョウブカゴノキなどと似た雰囲気になる。重硬なヤマボウシの材は器具や薪炭として利用可能だが、材木として流通することは少ない。樹皮や枝葉を煮出したものは、黄茶色や黒茶色の染料となる。

 

【ヤマボウシの育て方のポイント】

・新緑、花、果実、紅葉とシーズンごとの楽しみがあるためシンボルツリーとして人気が高い。一本立ちのものでも風景になるが、特に株立ちのヤマボウシは観賞価値がある。

 

・あまり背が高くならないため庭木として人気が出たが、ハナミズキ同様に花が上向きに咲くため、成長とともに観賞しにくくなる。このため剪定が必要だが、自然樹形を楽しむ木であるため、剪定にはセンスが必要となる。

 

・自生地は山地の谷沿いが多く、砂壌土を好むが、適応力があり土質選ばずに育つ。

 

・花や紅葉を楽しむには日当たりの良い場所に植える必要がある。ただし、西日を嫌うため、西日の当たる場所では根元に下草を植えるなどの乾燥対策が必要。

 

【ヤマボウシの品種】

・自生種には総苞片が淡い紅色をしたベニヤマボウシがある。

 

・園芸品種は年々多様化しており、ウルフアイ、ゴールドスターなど葉色を楽しむ品種、ミルキーウェイのように、より丈夫な品種、さらには冬でも葉の落ちない常緑のヤマボウシなどがある。常緑性のヤマボウシは近年人気が高まっている品種で、ホンコンエンシス(ガビサンヤマボウシや月光など)とヒマラヤヤマボウシの二系統に大別できる。いずれも常緑だが、気温が低い時季は紅葉したようになる。 

やまぼうし,ヤマボウシの種類,品種
葉に模様が入る品種「ウルフアイ」
ヤマボウシの品種,名前
葉の中央に黄色の模様が入る「ゴールドスター」
ミルキーウェイ,品種
ミルキーウェイは葉が厚めで日焼けに強い
ヤマボウシの種類,常緑
常緑の「ホンコンエンシス」
れっどむーん,山法師
レッドムーンも常緑だが、萼がピンク色になる
ひまらややまぼうし
ヒマラヤヤマボウシも常緑
黄葉する山法師
常緑ヤマボウシも秋には紅葉する(画像はガビザン)

 

【ヤマボウシとハナミズキの見分け方】

①花の時期の違い

 開花はハナミズキの方が数週間早い。ハナミズキは花が咲いてから新芽が出る。ヤマボウシは葉が揃ってから花が咲く。

 

②花の形の違い

 ハナミズキの花(総苞片)は先端が凹んでいるか丸い。ヤマボウシは尖っている。 

似ている花の見分け方
ハナミズキの花
相違点
ヤマボウシの花

 

③樹皮の違い

 花も葉もない冬季でも、幹を見れば見分けられる。ハナミズキは灰黒色でゴツゴツしており、縦にひび割れており、ヤマボウシはやや明るめでツルツルし、大木では斑模様に剥げ落ちる。

見分け方
ハナミズキの樹皮
似ている木の見分け方
ヤマボウシの樹皮

 

④果実の違い

 ハナミズキの果実は水分が少なくて硬いため、食べようという気にならないが、ヤマボウシはいかにも果物のように瑞々しい。ちなみに両者が熟す時季は異なり、ヤマボウシの方が早い。

ハナミズキの果実
ハナミズキの果実
ヤマボウシの果実
ヤマボウシの果実

ヤマボウシの基本データ

 

【分類】ミズキ科/ミズキ属

    落葉広葉/小高木~高木

【漢字】山法師(やまぼうし)

【別名】コウサ/イツキ/ツミ

    ヤマグワ/カラグワ

【学名】Cornus kousa ssp.kousa

【英名】Japanese Dogwood

    Kousa Tree

    Japanese Strawberry Tree

【成長】やや早い

【移植】やや難しい

【高さ】3~15m

【用途】シンボルツリー

    街路樹/公園樹

【値段】3000円~

 

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